気候変動およびその抑制策の不十分さは、今後数年間における主要なグローバルリスクの一つとして認識されており、当社のバリューチェーン全体に影響を及ぼす可能性があります。そのため、本テーマを経営上の重要課題の一つと位置付け、事業のレジリエンス強化ならびに低炭素社会への移行に貢献する取り組みを推進しています。

このような背景のもと、当社は科学的根拠に基づく意欲的な気候変動目標を策定しています。これらの目標は、Science Based Targets initiative(SBTi)による認証を取得しており、パリ協定で掲げられた「世界の平均気温上昇を1.5℃以内に抑える」という目標に整合した内容となっています。

また、MarfrigおよびBRFは、それぞれの事業分野における先駆的な企業として、この共通の志をさらに強化しています。Marfrigは、牛肉タンパク業界において初めてSBTiより気候目標の認証を受けた企業であり、BRFは森林・土地利用・農業に関連する排出量を対象としたFLAG(Forest, Land and Agriculture)手法に基づき、食品業界で初めて目標認証を取得した企業となりました。

さらに、MBRFの発足に伴い、当社の気候変動目標は現在見直しおよび統合プロセスを進めております。新たな統合経営体制との整合性を確保するとともに、脱炭素社会の実現に向けた共通の目標達成を目指し、気候変動への取り組みを一層推進してまいります。

コミットメント

期限 ステータス コミットメント 進捗状況
2030年 (進行中) 再生可能エネルギー由来の電力を活用し、事業活動における使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄うことを推進します。 当社は2025年末時点で、グローバル事業における使用エネルギーの80%を再生可能エネルギーとし、2030年までに100%達成を目指す目標に沿って着実に取り組みを進めています。特にブラジルでは、トレーサビリティが確保された電力の調達により、事業活動で使用する電力の100%再生可能エネルギー化を実現しました。
2032年 (進行中) 2020年を基準年として、鶏肉および豚肉事業におけるScope1およびScope2の温室効果ガス排出量を51%削減することを目指します。
※目標値は2020年を基準年として設定しています。
当社は2025年において、2020年を基準年としたScope1およびScope2の温室効果ガス排出量を22.6%削減し、SBTi(Science Based Targets initiative)の短期目標(Near-term Target)の達成に向けて着実に進展しました。

この成果は主に、トレーサビリティが確保された再生可能エネルギーの導入を通じて、鶏肉・豚肉事業における電力使用量の97%を再生可能エネルギーで賄ったことにより、Scope2排出量の大幅な削減が実現したことによるものです。また、過去数年間にわたり排出量に大きな影響を与えていた森林火災由来の排出抑制にも取り組み、その結果、Scope1排出量は2024年比で21%減少しました。これらの取り組みが、温室効果ガス排出量全体の削減に大きく寄与しています。

2032年 (進行中) 2020年を基準年として、鶏肉および豚肉事業におけるScope3の温室効果ガス排出量を35.7%削減することを目指します。
※目標値は2020年を基準年として設定しています。
2025年において、SBTi(Science Based Targets initiative)の短期目標(Near-term Target)の対象となるScope3温室効果ガス排出量は、2020年の基準年比で10.7%削減しました。この成果は主に、畜産分野における持続可能な生産手法の導入・拡大によるものです。具体的には、養豚農場における排せつ物のバイオダイジェスター活用による再生可能エネルギーの創出に加え、当社が推進する生産者による太陽光発電の導入、さらには環境制御型鶏舎(ダークハウス方式)の活用など、生産現場におけるさまざまな取り組みが排出量削減に寄与しました。
2035年 (進行中) 2019年を基準年として、牛肉事業におけるScope1およびScope2の温室効果ガス排出量を68%削減することを目指します。
※目標値は2019年を基準年として設定しています。
2025年度において、当社は2019年を基準年として、牛肉事業におけるScope1およびScope2の温室効果ガス排出量を21.6%削減しました。この成果は主に、南米地域における事業拠点の売却に伴う事業ポートフォリオの見直しによるものです。こうした事業環境の変化を踏まえ、現在はMBRFの事業範囲に即した新たな気候関連目標の策定を進めています。また、Scope2排出量の削減については、I-REC(International Renewable Energy Certificate)によってトレーサビリティが確保された再生可能エネルギー由来の電力を調達したことが大きく寄与しました。
2035年 (進行中) 2019年を基準年として、サプライチェーン全体における間接的なScope3温室効果ガス排出原単位を33%削減することを目指します。
※目標値は2019年を基準年として設定しています。
2025年において、バリューチェーンにおける温室効果ガス排出原単位は、2019年の基準年比で2.2%増加しました。この増加は主に家畜調達カテゴリーに起因するものであり、家畜の飼育期間(出荷月齢)が温室効果ガス排出量に大きな影響を及ぼしています。当社は今後も、サプライチェーン全体における排出量削減に向けた取り組みを強化し、持続可能な畜産の実現を目指してまいります。

温室効果ガス(GHG)
排出量管理

温室効果ガス(GHG)排出量インベントリは、当社の気候変動マネジメントにおける重要な基盤であり、排出量の定量化、主要な排出源の特定、および信頼性の高いデータに基づく排出削減戦略の策定を可能にしています。

当社のインベントリは、Scope1、Scope2およびScope3を対象としており、事業活動に伴う直接排出、エネルギー調達に関連する間接排出、さらにバリューチェーン全体における間接排出を包括的に把握しています。主な排出源には、家畜飼養に伴うメタン排出を中心とした畜産活動のほか、土地利用、エネルギー消費および物流活動が含まれており、これらを踏まえて脱炭素化に向けた重点施策を策定しています。

当社は、ブラジルGHGプロトコル・プログラム(Programa Brasileiro GHG Protocol)の設立メンバー27社の一員として、その方法論を全面的に採用し、毎年の温室効果ガス排出量インベントリを作成しています。これにより、国際的な測定・報告基準に整合した環境情報の管理・開示を行っています。また、10年以上にわたり「公共排出量登録(Public Emissions Registry)」において排出実績を開示し、透明性および説明責任の向上に努めています。

さらに、当社のインベントリは独立した第三者機関による検証を受けており、同プログラムにおける最高評価である「ゴールド認証(Selo Ouro)」を取得しています。これにより、開示情報の品質、完全性および信頼性を確保しています。

ゴールドシール

2025年、BRFは温室効果ガス排出量インベントリの透明性の高い開示が評価され、ブラジルGHGプロトコル・プログラムにおいて最高評価である「ゴールド認証(Selo Ouro)」を15年連続で取得しました。また、Marfrigも2年連続で同認証を取得しています。

温室効果ガス排出量インベントリの詳細につきましては、BRF統合報告書およびMarfrig統合報告書をご参照ください。

イニシアテイブ

MBRFの気候変動アクションプランは、気候変動への対応を推進するため、4つの重点分野を柱として構成されています。すなわち、「森林破壊のないサプライチェーンの構築」、「低炭素型農牧畜の推進」、「エネルギー転換および事業運営の効率化」、そして「気候変動への適応とレジリエンスの強化」です。当社は、これらの重点分野に基づき、脱炭素社会の実現に向けた具体的な取り組みを着実に推進しています。

森林破壊および土地転換を伴わないサプライチェーンの構築

MBRFは、2025年までに直接・間接を含むサプライチェーン全体の100%モニタリングを実現し、森林破壊および自然生態系の転換(コンバージョン)を伴わないサプライチェーンの構築を目指しています。当社は、原材料調達におけるトレーサビリティと透明性の向上を推進するとともに、生物多様性の保全および持続可能な土地利用の促進を通じて、責任ある調達の実現に取り組んでいます。

このコミットメントは、サプライチェーン管理の強化を目的とした当社の取り組みである「Verde+プログラム」を通じて推進されています。同プログラムは、サプライチェーンのモニタリング強化、厳格な環境・社会基準の適用、および低炭素型生産の促進を柱としています。

「生産・保全・包摂(Production–Conservation–Inclusion)」の理念に基づいて構築されたVerde+プログラムは、以下の3つの柱で構成されています。

・先進的なモニタリング技術およびトレーサビリティシステムの活用

・生産者の持続的な発展を支援する技術指導と能力向上支援

・持続可能な生産手法の導入を促進する金融支援メカニズムの提供

当社はこれらの取り組みを通じて、環境保全と持続可能な農牧畜生産の両立を図り、責任あるサプライチェーンの構築を推進しています。

  • ・森林破壊を伴わないサプライチェーンの構築
  • ・直接・間接サプライヤーを含むサプライチェーン全体のモニタリング
  • ・牛の直接・間接サプライヤーにおけるトレーサビリティ100%の実現
  • ・穀物の直接・間接サプライヤーにおけるトレーサビリティ100%の実現

低炭素型農牧畜の推進

MBRFは、科学的根拠(サイエンス)、イノベーション、生産者との連携を基盤とした戦略を通じて、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減を推進しています。

牛肉事業では、生産効率の向上を目的とした遺伝的改良を推進するとともに、反すう由来メタンの排出抑制に寄与する飼料添加物を導入しています。

また、ブラジル農牧研究公社(Embrapa)が策定した低炭素農業プロトコルに基づく実践を進めています。鶏肉・豚肉事業においては、契約生産農場での太陽光発電の導入を支援するとともに、家畜排せつ物を再生可能エネルギーへ転換するバイオダイジェスターの活用を推進しています。これらの取り組みは、技術支援、金融支援ソリューション、および環境・社会面のモニタリングを提供する「Verde+プログラム」と連携して推進されています。同プログラムは、直接・間接サプライヤーを対象に、トレーサビリティの強化と低排出型生産システムへの移行を支援しています。MBRFは、このような統合的なアプローチを通じて、生産性と持続可能性を両立したサプライチェーンを構築し、グローバルな気候変動課題への対応をさらに強化してまいります。

  • ・契約生産農場における太陽光発電導入率61%の達成
  • ・低炭素・カーボンニュートラル製品のポートフォリオ拡充
  • ・「低炭素牛肉(Carne Baixo Carbono)」および「カーボンニュートラル牛肉(Carne Carbono Neutro)」認証プロトコルの推進
  • ・牛のメタン排出削減に寄与する飼料添加物の活用
  • ・生産性向上と環境負荷低減を両立する遺伝的改良の推進
  • ・在来森林の再生および牧草地の回復に向けたパートナーシップの推進

エネルギー転換の推進

MBRFは、よりクリーンで効率的なエネルギー構成への転換を推進することを重要な責務と位置付けています。

その一環として、2030年までに事業活動で使用する電力の100%を再生可能エネルギー由来とする目標を掲げ、すべての事業領域において低炭素化への取り組みを強化しています。

この目標の実現に向け、当社は再生可能エネルギーへの投資を継続的に拡大しています。2021年以降、大規模な風力・太陽光発電プロジェクトの開発に向けたパートナーシップを推進しており、リオグランデ・ド・ノルテ州の「Cajuína風力発電コンプレックス」やセアラー州の太陽光発電施設など、当社事業拠点への電力供給を目的としたプロジェクトを進めています。これらの取り組みにより、再生可能で競争力のあるエネルギーの安定確保を図るとともに、当社の気候変動目標の達成を支えています。

また、エネルギーミックスの多様化にも継続して取り組んでいます。その中でも、自社のユーカリ植林地から得られるバイオマスは、当社の環境パフォーマンス向上に大きく貢献しています。主に生産工程における蒸気生成の燃料として活用することで、温室効果ガス排出量の削減を推進するとともに、事業活動全体のエネルギー効率向上にも寄与しています。

  • ・エネルギーミックスの90%を再生可能エネルギー由来とする体制の構築
  • ・27,000ヘクタールの植林地の維持・管理
  • ・使用電力の50%を再生可能エネルギー由来電力へ転換
  • ・自家発電型再生可能エネルギープロジェクトへの投資推進

事業運営の効率化

MBRFは、事業プロセスの効率向上と環境負荷の低減に向けて継続的に取り組んでいます。

当社は、資源利用の最適化、生産性の向上、ならびにサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減を実現するため、先進技術の導入を推進しています。具体的には、排水・廃棄物処理の高度化、冷凍・冷蔵設備の効率改善、物流・輸送の最適化に加え、生産拠点および物流センターにおける省エネルギーソリューションの導入を進めています。

また、プロセスの最適化とエネルギー消費量の削減を目的として、新たな技術やサプライヤーの探索・評価を継続的に実施しています。当社は、エネルギー効率の向上を継続的な改善活動と位置付けており、絶え間ない技術革新と新たなソリューションの活用が重要であると考えています。

さらに、当社のガバナンス体制は、この取り組みを支える重要な役割を担っています。関連テーマについて議論する専門フォーラムを設置し、目標設定および進捗管理を一体的に行うことで、効率的かつ実効性の高い推進体制を構築しています。

これらの取り組みを通じて、MBRFは、より先進的で効率的かつ環境に配慮した事業運営を推進し、業界における環境マネジメントのベストプラクティスの実践に努めています。

  • ・エネルギー有効活用プロジェクトへの投資推進
  • ・エネルギー効率向上プログラムの推進
  • ・排水および廃棄物処理設備への投資拡大