MBRFは、動物福祉に関する先進的な取り組みを推進し、サプライチェーン全体を通じて、より高い水準の実現に向けた活動を一体的に展開しています。当社は、国際的に認知された原則に基づき、さまざまな施策やプロセスを推進しています。

当社の動物福祉への取り組みは、世界的な動物福祉の指標として知られる英国の独立機関であるFarm Animal Welfare Council(FAWC)が提唱した「5つの自由」を基本理念としています。また、動物の生理的状態や行動、精神状態を包括的に評価する「5つのドメイン(栄養、飼養環境、健康、行動的相互作用、精神状態)」の考え方も取り入れています。この概念は、1979年にFAWCが策定した「5つの自由」を発展させたものです。

これらのドメインは、MBRFの方針およびモニタリング体制に組み込まれており、継続的な改善、責任の共有、そして倫理的な取り組みの強化を通じて、サプライチェーン全体における動物福祉の向上を支えています。

1

栄養

栄養バランスに配慮した飼料を適切に摂取できる環境を整え、動物にとって良好な飼養体験を提供します。

2

健康

健全な成育を支える適切な管理を通じて、動物の健康と活力の維持に努めます。

3

飼養環境

快適性と安全性に配慮した飼養環境を整備し、動物が安心して過ごせる条件を確保します。

4

精神状態

快適さや興味、安心感を重視するとともに、苦痛やストレスなどの負の体験を低減する取り組みを行っています。

5

行動

動物本来の行動を発揮できる多様な活動機会を提供し、豊かな飼養環境の実現を目指します。

詳細な取り組み内容および実績については、「動物福祉レポート」をご覧ください。
また、当社の動物福祉に関する基本方針については、「グローバル動物福祉ポリシー」をご参照ください。

ハイライト

・動物福祉に関する国際基準に基づく監査を、全ての食肉処理施設で実施

・インテグレーションシステムにおいて飼育される鶏の100%をケージフリーで飼養

・当社事業で使用する鶏卵の100%において、ケージフリーで飼養された採卵鶏由来の卵を使用

NAMIおよびNCCの監査プロトコルに基づく監査

当社の各事業所では、NAMIおよびNCCのプロトコルに基づく第三者監査に加え、お客様独自の基準を含む各種動物福祉監査を受審しています。

これらの監査結果は、動物福祉に関する継続的な取り組みと、業界における先進的な飼養管理手法の実践に向けた当社の姿勢を示すものです。

取り組み目標

 

期限 ステータス コミットメント 進捗状況
2025 完了 動物福祉に関する監査を全ての製造拠点で実施することを目標としています。 2024年以降、MBRFの鶏肉、豚肉および牛肉の全ての食肉処理施設において、動物福祉監査を実施しています。監査には、NAMI(North American Meat Institute)、NCC(National Chicken Council)およびNational Turkey Federationが定める国際的に認知されたプロトコルを採用しており、動物福祉における世界最高水準の実践に向けた当社の取り組みを推進しています。
2025 完了 ケージフリー飼育による採卵鶏の卵のみを世界全体で使用することを目標としています。 MBRFは、2020年よりブラジル国内で調達する鶏卵の100%をケージフリーで飼育された採卵鶏由来の卵へ切り替えています。さらに、2025年にはこの取り組みをグローバル全体へ拡大し、世界規模でコミットメントを達成しました。
2025 進行中 ブロイラーおよび食肉豚の統合生産において、100%の農場で環境エンリッチメントを導入・実施します。 2025年には、環境エンリッチメントの導入が大きく進展し、インテグレーションシステム全体で92.27%を達成しました。内訳は、ブロイラーで97.17%、豚で84.23%、七面鳥で100%となっており、動物本来の行動発現を促進する飼養環境の整備を継続的に推進しています。
2026 進行中 2030年までに、全ての繁殖雌豚に対してグループ飼育方式の妊娠ストールを導入することを目標としています。また、2023年以降に新設される全ての繁殖雌豚飼養施設では、個体管理と群飼管理を組み合わせた「カバー・アンド・リリース方式」を採用しています。 2025年は、運営上の課題や個別事情、ならびに投資資源の制約により、2024年と同水準の導入率を維持しています。引き続き、繁殖雌豚の飼養環境改善に向けた取り組みを段階的に推進していきます。

当社の取り組み

当社の動物福祉に対するコミットメントは、各畜種の特性に応じた実効性の高い取り組みとして実践されています。国際的に認められた最新の技術的知見や推奨事項に基づき、倫理的な飼養管理の推進と適切な飼養環境の確保に努めるとともに、当社の事業活動およびサプライチェーン全体における動物福祉の向上に取り組んでいます。

運動できる空間の確保

当社は、欧州の指針に準拠した厳格な飼育密度基準を採用しています。また、世界各地で出荷されるブロイラーの相当割合について、より低密度な環境で飼養することで、鶏が十分に動き回ることのできる空間を確保し、アニマルウェルフェアの向上に努めています。

ケージフリー飼養

当社では、すべての鶏をケージフリー環境で飼養しています。種鶏には巣箱へのアクセスを確保し、本来の行動特性を発揮できる環境を整備しています。また、販売する卵はすべてケージフリー由来です。当社は商業用採卵を行っておらず、無精卵のみを取り扱っています。

飼料・給水管理

ブロイラーおよび七面鳥には、常時新鮮な飲水を提供しています。また、発育段階に応じて栄養設計された飼料を給与し、専門の栄養士による管理のもと、健全な成長と健康維持に取り組んでいます。

適切な温度管理

当社では、鶏の快適性を確保するため、温度管理設備を導入しています。鶏舎内の温度および湿度については、最高値・最低値を含めて日々モニタリングを実施し、飼養環境の適正な維持に努めています。

休息環境の確保

当社では、鶏の生理的ニーズに配慮し、適切に管理された照明プログラムを導入しています。飼育段階に応じて調整を行いながら、1日あたり最低8時間の明期と4時間の暗期を確保し、十分な休息と健全な成長を支える飼養環境の整備に努めています。

地域・市場の要請への対応

当社の生産活動は、各地域の文化的背景や宗教的要件、市場ニーズに配慮して運営されています。また、お客様ごとの仕様や各種認証基準にも適切に対応し、多様な期待に応える製品・サービスの提供に努めています。

身体的処置の不実施

当社では、ブロイラー、七面鳥および種鶏に対して、飼育期間中に身体的な処置や改変を行わない方針を採用しています。動物本来の状態を尊重し、適切な飼養管理を通じてアニマルウェルフェアの向上に取り組んでいます。

輸送

当社では、動物福祉に配慮した輸送を実現するため、社内ガイドラインに基づく管理を徹底しています。輸送時には、開放防止機能付きの輸送ケージの導入を推進するとともに、移動時間は原則として4時間以内となるよう運用し、動物への負担軽減に努めています。

評価・取り扱い管理

すべての動物は、工場到着時に健康状態および福祉状況の評価を実施しています。また、取り扱い業務はアニマルウェルフェアに関する専門教育を受けた担当者が行い、動物への負担を最小限に抑える適切な管理に努めています。

飼養環境と温熱快適性の確保

当社の各事業所では、すべての動物が十分に摂取できる質の高い飼料と飲水を提供しています。また、適正な飼養密度を維持するとともに、滑りにくい床材や散水設備を導入し、動物に過度な負担をかけることなく、施設内における快適な飼養環境の整備に努めています。さらに、多くの事業所では適切に配置された日除け設備を設置し、通風性の確保と温熱環境の改善を図ることで、動物の快適性向上に取り組んでいます。

設備・機器

当社の事業所では、最新の保定設備およびスタニング(事前失神処置)設備を導入し、適切な保守・管理を行っています。これらの設備に加え、推奨基準に基づく運用管理と専門教育を受けた従業員による対応を組み合わせることで、確実かつ効果的なスタニングの実施に努め、動物福祉の向上を推進しています。

教育・能力開発

当社では、世界各地の自社事業所においてアニマルウェルフェアに関する教育・研修を実施しています。また、生産農場への技術訪問を通じた指導・支援に加え、積み込み作業、動物の取り扱い管理、および各種評価指標の識別・活用に関する研修を実施し、関係者の知識向上と適切な実践の推進に努めています。

モニタリング

当社では、各事業所においてチェックリストを活用した定期的な確認を実施するとともに、監視カメラや第三者機関による監査を通じて、アニマルウェルフェアに関する取り組み状況を継続的にモニタリングしています。これにより、適切な管理の徹底と継続的な改善に努めています。

輸送

当社では、農場から生産拠点までの動物輸送において、アニマルウェルフェアの観点に基づく最良の実践基準を厳格に適用しています。また、輸送事業者に対してこれらの方針・基準の浸透を図るため、継続的な教育・啓発活動を実施しており、研修や事業所見学などを通じて理解促進に努めています。加えて、輸送業務の品質向上を目的として、提供されるサービスのモニタリングおよび評価を継続的に実施し、動物への負担軽減と適切な輸送管理の徹底を推進しています。

責任ある抗菌剤の使用

当社では、疾病予防のみを目的とした抗菌剤の定常的な使用(非治療的使用)を行わない方針を採用しています。また、抗菌剤の使用にあたっては、有資格の専門家による処方を必須とし、適正かつ責任ある薬剤管理を徹底しています。

サプライチェーンにおける取り組み

当社では、サプライヤーに対してアニマルウェルフェアに関する方針や実践方法の周知・支援を行っています。教育資料の提供、現地訪問、チェックリストを活用した確認活動などを通じて理解促進と実践の定着を図るとともに、各種認証の取得を推奨し、サプライチェーン全体におけるアニマルウェルフェア水準の向上に取り組んでいます。

豚 

評価・取り扱い管理

すべての豚は、工場到着時に健康状態および福祉状況の評価を実施しています。また、取り扱い業務はアニマルウェルフェアに関する専門教育を受けた担当者が行い、動物への負担を最小限に抑える適切な管理に努めています。

施設内における自由な行動の確保

当社では、欧州の指針に基づき、肥育豚が施設内で自由に移動できる飼養環境を整備しています。動物本来の行動を尊重し、快適な飼育環境の提供に努めています。

離乳

離乳は生後21日齢以上で実施しており、平均離乳日齢は25日となっています。成長段階に応じた適切な飼養管理を通じて、豚の健全な発育を支援しています。

去勢

外科的去勢を必要とする豚は全体の0.17%にとどまり、実施する場合は必ず麻酔を用いています。一方、雄豚の約99.83%には外科手術を伴わない免疫学的去勢(イムノキャストレーション)を採用しています。2025年までに100%免疫学的去勢への移行を目標としています。なお、繁殖雌豚に対する去勢は実施していません。

身体的処置

耳への切込み処置(耳刻)は実施していません。一方で、尾かじり行動の予防を目的として、契約生産農場で飼養される豚の100%に対し、生後3日以内に断尾を実施しています。また、断尾時の動物への負担軽減を目的として、鎮痛処置の導入に向けた検証を進めています。

群飼妊娠管理

新たな増設プロジェクトにおいては、群飼妊娠方式の導入を必須としています。また、2026年までにすべての繁殖雌豚を群飼妊娠用ストールで管理することを目標として取り組んでいます。

輸送

当社では、豚の輸送に使用するすべての車両について、追跡可能な管理体制を構築しています。車両には監視カメラおよびドライバーの疲労検知センサーを搭載し、輸送状況の適切なモニタリングを実施しています。また、輸送時間は原則として8時間以内となるよう計画しています。なお、当社は生体動物の海上輸送を実施しておらず、今後もこの方針を継続していきます。

アニマルウェルフェアに
関するマネジメント体制

当社は、すべての食肉処理・加工拠点の運営において、アニマルウェルフェアの推進を重要な経営課題の一つとして位置付け、以下の3つの基本方針に基づき取り組みを進めています。

事業を展開する各国・地域における法令・規制を遵守するとともに、倫理的な原則に則った事業活動を実践すること

世界各国のお客様から寄せられる多様な要請や期待に適切に対応すること

サプライヤー、輸送事業者、従業員と連携し、動物の適切な取り扱いに関するベストプラクティスの維持・向上に取り組むこと

また、アニマルウェルフェアに関する方針や施策の策定・運用にあたっては、バリューチェーンの主要な構成要素である農場、輸送、および生産拠点の各段階を対象とし、一貫した管理体制の構築を推進しています。

アニマルウェルフェア・
アンバサダープログラム

(養鶏・養豚事業)

当社は2024年、各事業所におけるアニマルウェルフェアへの理解促進と実践力の向上を目的として、「アニマルウェルフェア・アンバサダープログラム」を開始しました。本プログラムは、人材の育成と意識向上を図るとともに、各拠点における推進責任者(フォーカルポイント)の設置を通じて、アニマルウェルフェア文化のさらなる定着を目指すものです。アンバサダーは、それぞれの生産工程においてアニマルウェルフェアに関する取り組みを推進・発信する役割を担っています。具体的には、関連する活動の推進、組織文化の醸成、優良事例の創出および共有、従業員の意識向上と参画促進、さらには最新の知見や技術動向の把握・展開などに取り組んでいます。2024年には第1回アンバサダー会議を開催し、約30名のアンバサダーが参加しました。会議では、優良事例の共有や課題・改善機会に関する意見交換を行うとともに、アニマルウェルフェアを重視する企業文化のさらなる強化に向けた議論を実施しました。

アニマルウェルフェア
専門人材

当社は、2004年にテンプル・グランディン博士が初めて当社の事業所を訪問したことを契機に、アニマルウェルフェアへの取り組みを強化しました。さらに2006年には、本テーマを専門に担当する専任部署を設置し、業界に先駆けた体制整備を進めてきました。当該部署には、畜産学の専門家や獣医師など、高度な専門知識と経験を有する人材が所属しており、アニマルウェルフェアに関する戦略の策定や飼養管理の改善を推進しています。また、国内外の法令・規制、お客様の要求事項および当社独自の取り組みに適合した施設・設備の整備に向けて、専門的な技術支援を行っています。加えて、アニマルウェルフェアに関する各種指標の進捗管理、モニタリング、委員会活動、意思決定プロセスおよび教育・研修の運営を担うとともに、その成果や推奨される取り組み内容を年次報告書などを通じて開示しています。さらに、サプライヤーに対して高いアニマルウェルフェア基準の導入を促進し、ベストプラクティスの共有と普及を図ることで、バリューチェーン全体におけるアニマルウェルフェアの向上に取り組んでいます。

サプライチェーンにおけるアニマルウェルフェア管理

インテグレーション契約農場

MBRFのインテグレーション契約農場は、当社と提携する生産者が自らの施設を活用し、当社が定める技術基準および飼養管理指針に沿って鶏や豚を飼養する生産体制です。当社は、動物、飼料などの主要資材および専門的な技術支援を提供しています。2023年以降、これらすべての提携生産者に対して、アニマルウェルフェアに関する要求事項に基づく評価を実施しています。また、契約農場、輸送事業者、積み込み作業従事者を含むすべての関係先は、アニマルウェルフェアに関する具体的な指針を盛り込んだ「サプライヤー行動規範」を遵守することが求められており、定期的な評価の対象となっています。当社が公表するコミットメントやアニマルウェルフェアに関する手順への不遵守が確認された場合には、是正措置の内容に応じて、注意喚起、監査不合格、是正完了までの業務停止などの措置を講じます。当該期間中、対象事業者は取引停止となり、改善措置の完了および適合性の確認後にのみ取引を再開することができます。また、不適合の内容が重大であると判断された場合には、当社の認定サプライヤー資格を取り消し、取引を終了します。

牛サプライヤーとの連携

当社では、牛のサプライチェーン全体においてアニマルウェルフェアのベストプラクティスを推進するため、さまざまな取り組みを展開しています。これらの活動への参画を促進するため、サプライヤーに対して指導・ガイドラインの提供および各種インセンティブ制度を設けています。

また、当社が掲げるアニマルウェルフェアの原則に対する遵守状況について、継続的に確認・評価する仕組みを整備しています。

主な取り組みは以下のとおりです。

  • MBRF Club プログラム
    生産者との連携強化を目的とした取り組みであり、「持続可能な畜産実践ガイド」および「MBRF Clubプロトコル」に基づく適切な畜産管理の普及を推進しています。本プログラムを通じて、農場の持続可能な発展を支援するとともに、安全性の高い生産体制の構築および環境負荷の低減に貢献しています。
  • 技術訪問
    アニマルウェルフェアを専門とする担当者が農場を訪問し、家畜の出荷作業を確認しています。訪問時には、農場の現状把握を目的とした記録を行うとともに、施設・設備や家畜の取り扱い状況について評価を実施し、改善に向けた支援を行っています。
  • 加工食品向け原料サプライヤー評価
    当社では、第二者監査および第三者監査において専用のチェックリストを活用し、原料サプライヤーの評価を実施しています。これにより、サプライヤーによるアニマルウェルフェアに配慮した適切な取り組みの導入と継続的な改善を促進しています。 <.li>

サプライチェーンにおけるアニマルウェルフェア推進プログラム

当社は、動物由来原料を含む製品のサプライヤーを対象としたアニマルウェルフェア研修を推進する先駆的な取り組みを実施しています。対象には、加工食品の原料供給事業者に加え、生産拠点の社員食堂で提供される動物性たんぱく質のサプライヤーも含まれます。また、国際的なアニマルウェルフェア推進団体であるCompassion in World Farming(CIWF)と連携し、サプライチェーン全体を対象とした一連の研修プログラムを展開しています。本取り組みを通じて、アニマルウェルフェアに関する考え方や要件を共有するとともに、ベストプラクティスの普及と定着を推進し、サプライチェーン全体におけるアニマルウェルフェア水準の向上と継続的な強化に努めています。

評価・表彰

当社は、事業活動およびバリューチェーン全体においてアニマルウェルフェアのベストプラクティスを確立するという方針のもと、農場動物福祉ビジネス・ベンチマーク(Business Benchmark on Farm Animal Welfare:BBFAW)が初めて実施された2012年より継続して同評価に参加しています。BBFAWは、農場動物の福祉管理に関する世界的な評価指標として広く認知されており、投資家、企業、非政府組織(NGO)をはじめとするさまざまなステークホルダーが、業界各社の取り組みやその成果を客観的に把握するための重要な基準となっています。当社は今後も、自社の事業活動におけるアニマルウェルフェアのさらなる向上に取り組むとともに、サプライヤーとの連携を強化しながら、サプライチェーン全体へのベストプラクティスの普及と定着を推進していきます。